超絶技巧で名高い19世紀の伝説的なヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニはギターの為の作品も数多く作曲しました。その多くは牧歌的で純粋な歌心のようなものを感じさせます。彼の作曲したヴァイオリンとギターのためのデュエット作品からも同様の印象を受けます。19世紀のヨーロッパに大きなインパクトを与えた彼の演奏は単にサーカス的であっただけてなく、イタリアの伝統的な歌唱法ベルカント(美しい歌)の心が彼の中に息づいていたからではないでしょうか。ちなみに歌曲王シューベルトはパガニーニの演奏の中に「天使が歌うのを聞いた」という言葉を残しています。本公演のプログラムはパガニーニの2つの顔、すなわち「悪魔の技巧」と「天使の歌声」の両方を存分にお楽しみ頂ける内容になっております。今回使用するヴァイオリンとギターは19世紀に製作されたもので、どちらもカット弦を使用します。そのノスタルジックな音色とパガニーニ作品の組み合わせを是非とも多くの方に楽しんで頂けましたら幸いです。